2019.11.07 Thursday

「ONEワク2019」 文化駅〜富山地鉄の駅舎〜 No.2

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    設計の面白さを伝えたい、次世代の建築家を育成する手助け・協力をし、建築家として若い世代の可能性を広げることを目的として始めた事業である「ONEワク」。

    2019年ONEワクのテーマを考える段階からご協力いただいておりました富山大学の上原教授、水野富山地域会長より総評をいただきましたので、掲載させていただきます。

     

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    高校や大学あるいは大学の学部といった枠を超えて、地域の問題に取り組む。その機会を、建築設計を生業にすることを目指している学生たちを集めて、建築設計の楽しさを教えることに用いる。そして、その場に行政と資本が参入しイベントとする。今回の企画は、そのような横断的な性格を持ったプロジェクトでした。これまで私が企画し運営したワークショップに比較すると小規模でしたが、精神は同等もしくはそれ以上の高さにあったと思います。できることならば、こういった機会をさらに多くの団体を巻き込んで継続的に実現したいものです。西暦2000年に私はオランダ建築会館で、日蘭修好400年を祝し山本理顕氏を招き15人程度のステークホルダーを交えた国際ワークショップを企画運営いたしました。その結果、山本さんの建築理念はオランダに広がり、そして、オランダの建築会に横断的な組織で、設計を通して都市研究を行う土壌ができました。富山県にはハウスメーカーや建材メーカー、また建築に敏感な企業が多数存在しますが、現在、その出会いの場がない状況です。銀行や施工業者、デヴェロッパーやコンサル、地域住民、美術館などを含めて、小さいながらアキュートな課題を孕んだ建築の設計を行うことで、そこから何か本当に生まれるような、そのような会に育て上げてゆくことが重要だと思いました。

    今回の企画も、学生たちを刺激することが、彼らを鍛えるプロの建築家たちの活動の基盤を押し広げるようなそのような結果につながる駒の一つであれば良い、そのように考える次第です。

    最後になりますが、参加された学生さん達、これからも枠を越えた思考で新しい課題に取り組むようにしてください。そして、学生達を指導されたプロの建築家の方々、ご苦労様でした。

     

    富山大学芸術文化学系 建築意匠教授  上原 雄史

     

    参加した高校生・大学生から60代の会員まで、参加者全員の驚くほどの熱量を感じた、とても密度の濃い二日間でした。これだけでも十分セミナーとして成立するくらいの調査前の3本のレクチャー。そこから問題解決の糸口をつかみ、現地調査をふまえて地域の人たちにとって何が大切かを考える眼差しは、机上の体験で済ませるには勿体ないほどでした。10社の設計事務所による設計競技にも見えるような進め方のなかで学生たちは課題解決とプレゼンテーションについて確かな手応えと学びを得たことと思います。その中でこの経験を一過性のものとして捉えるのではなく、自分の得意なこと、あるいは不足しているものに気付き、今後への飛躍の場として捉えて頂ければありがたいです。そして数年後にたくましい顔になって、設計者として再会できることに期待しています。

     

    (公社)日本建築家協会 北陸支部 富山地域会長  水野 敦