2017.10.16 Monday

JIA建築フォーラム2017 「地域を再生する」〜神家昭雄×大角雄三(古民家再生工房)

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    JIA建築フォーラム2017「地域を再生する」〜神家昭雄×大角雄三(古民家再生工房)に参加して

     

    1988年に岡山県で結成され、活動30周年を迎える6人の建築家の集まり「古民家再生工房」。今日はそこより、神家昭雄、大角雄三のお二人に多数の民家を再生してこられた話を聞いた。「再生」と一言で言っても、いろいろなケースがある。まずは、どこの時代にもどすのか?また、大きな民家は、今の暮らしにあわないし、コストも多くかかってしまう。その場合減築も考えられる。コンバージョン、用途変更をして民家からショップに変換され幸福な再生を遂げる時もある。建築は歴史をつないでいく、できれば何百年と残していきたい。そうなるためのいくつかの美しい仕事を見せていただいた。

    大角雄三氏の「黒谷の家」
    大角氏の作品の中で、特に強い印象を残す。30代のときの作だということでとても勢いを感じた。古い構造体の外に、新しい構造体を作り再生する。外皮の構造体はガラスとともにあって、透明性を帯びる。その外観がなんとも言えず美しい。また、解体時に天井裏に現れてきた構造体が良いので、屋根をいち部ガラスにして背後から光を導き、小屋裏の構成をあらわにして大工の技術を現す。 浴室まわりの壁や屋根はすべてガラスで古い構造体を覆い、北側の苔むした石積みや竹やぶを室内に取りむ、など。 ガラスがもたらす、視覚と概念的な透明性が1つのキーワードになってるように思った。 

    神家昭雄氏の「備前福岡の家」
    過去と未来を繋ぐ新たな空間。伝統的建物に若い人たちが住みたいと思いそれを購入し再生する。センスの良い人たちが住むと、そこは当然センスの良い空間になる。古めかしい民家の内部空間も、曲がりくねった梁の存在感もとてもモダンに見えてくる。和室はやめてすべてフローリング張りの床になっていることが、このサバサバした心地よい空間の要点かもしれない。

    神家昭雄氏の「谷万成の家」
    マスカット栽培の温室をアトリエへ改修したもの。温室は長手方向に約18mあったところを5,460mmで切り、切断面にエントランスを設けている。床に煉瓦を張り、壁にスギ板や一部野石を積んだほかは基本的に手を加えず、既存の状態をそのまま生かしている。特に印象的なのは、床に使ってある白いレンガだ。夏の日差しによる蓄熱を少しでも反射するためにそうしたらしい。性能的なことと内部の空間を明るい印象にすることにつながっていて、とても美しい。

    最後に、友人である濱田会長を交えての質問コーナーとなった。その時に言われた印象深い言葉をいくつか自分なりに書き留めておきたい。

    「民家はプランではなく構造から成立つ」
    現代のように複雑な生活シーンがあるわけでない昔の場合、まずは大きな構築物を整理させることの方がおそらく重要だったに違いない。仮構から出来上がる空間や、空間のヒエラルキーなどによって部屋の使い勝手が決まってきたんじゃないかと思う。

    「根継ぎ」
    神家さんの解体の写真の中に、大黒柱の根本が3分の1ほどしか残ってないショックな写真があった。それを全て取り去るのではなく、上部を残し根継ぎにして再生してあった、出来上がった空間では根本はあえてのっている石が見えるようにしてあり、このときの記憶を後に残そうと思う思いが伝わってきた。

    「外観をガラスで覆う場合、例えば現代の鋼製カーテンウォールではしない」
    あまり新しい材料は使わない 。例えば新建材。大角さんがパンチングメタルを使った時、他の5人から激しい批判を受けたと言う。やはり経年変化する材料でないと、使う価値がないのではと思う。100年以上経った材、今から歳を重ねる材。その2つの時間軸がともに歳を重ねていくことが重要なのだと思う。

    「構造は全て残したい」
    長い間使われなかった民家は、解体したときにわかるが傷みが激しい。すべての部材を腐れがないかなどをチェックするために構造だけの状態にして、だめなものは取り除く。気の遠くなるような作業を繰り返して、古い材料だけど使えるものはそのまま残す。途中の時代にその場しのぎで加えられた部材等は取り除く。そうすると美しい骨組みだけが残る。そこに立ち上がっている構造自体が、民家の理念だ。

    近代建築/現代建築とは全く違うスタンスである民家の世界。それを「再生」するとき、独自の価値観が必要となる。過去と未来を繋ぐ新たな空間を創造する手法の数々。 民家にある、美しく歳を重ねてきた柱や梁の存在や、名工たちの卓越した技術に対して敬意をはらう。そのような視線を強く感じたフォーラムであり、たいへん感慨深い内容であった。(Y.Mizuno)

    「黒谷の家」「黒谷の家」

    「備前福岡の家」「谷万成の家」

     

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